<ウエスト・サイド・ストーリー Season1 感想>劇場も時代も回っても変わらないもの
アジア初360°回転シアター『IHIステージアラウンド東京』に、1950年代後半のマンハッタンが登場!
2019年夏からブロードウェイ来日公演から始まり、2020年5月末まで3回のシーズンを分けて国内キャスト公演を行っています。
ということでSeason1を観劇しました。
多くがダブルキャストなのでキャストについても記載します。
ブロードウェイ・ミュージカル ウエスト・サイド・ストーリー in STAGE AROUND Season1
公演期間:2019年11月6日(水)~2020年1月13日(月)
会場:IHIステージアラウンド東京
通称「WSS/WSS1」
最終更新日:2020年1月31日
あらすじ
舞台は、1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイド。セントラルパークを挟んで、イーストサイドが高級住宅街で、ウエストサイドには多くの移民が住んでいた時代の物語。
この頃のニューヨークは、世界中から多くの移民が夢と富を求めて集まってきた時代だった。彼らはそれぞれギャング集団を作り、お互いに敵対し合う。しかし、ポーランド系移民のトニーと、プエルトリコ系移民のマリアは偶然出会い、激しい恋に落ちてしまう。禁断の愛は多くの人を巻き込み、悲劇の連鎖を生む…。
シェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」に着想を得た作品。偏見、暴力の世界で生き抜いていくために恋にもがく作品であると、この作品の脚本家、アーサー・ローレンツは言う。
キャスト(Wキャストのみ記載)
トニー:蒼井翔太
マリア:笹本玲奈
アニータ:三森すずこ
リフ:上山竜治
ベルナルド:水田航生
以下、ストーリーの展開や演出バレを含みます。
WSS2は、執筆時点で未上演・観劇予定が無いので、気にされる方はご注意ください。
WSSは有名なミュージカルということで、ストーリーは重視していません。
パンフレット未購入のため、楽曲は原曲である英語表記です。
目次
1:【演出】回転を上手く利用するシーンの数々
360°がステージなので、ジェッツとシャークスのアジト、ドクの店、マリアの家、学校の体育館や喧嘩の河川敷、夢のような空間などが自然体で、まさにそこにあるように感じられました。
バイクシーンも観ていて臨場感があります。
トニーとマリアの逢引シーンが回転し、遠ざかる演出は運命の歯車がいたずらに回っていくことを思わされました。
2:【キャスト・演出】『Prologue』、『Tonight』、『I feel Pretty』
『Prologue』は、ニューヨークの街並みを模したオシャレなアート演出。
途中、幕が開くと数々の映画やMVにオマージュされる、有名なアバンはバレエのようなダンスがとても美しかったです。
トニーとマリアの『Tonight』は、WSSで最も有名な楽曲・シーンであり、ロミオとジュリエットの逢引のシルエットと重なります。
演出でベランダが前方に移動したので驚きました。
蒼井さんの高音しか聴いたことがなかったので、トニーだと低めの声色で新鮮でした。
マリアの『I feel Pretty』は、笹本さん高音がとても伸びやかでした。
他、楽曲では『America』や『Tonight(カルテット)』がお気に入りです。
3:【演出】ラストシーンの意図
マリアがベビージョンからベールかけてもらい、幕が閉じました。
幕には数々の日付と都市の名前が投影されます。
パリ、ナイロビ、ニューヨークなど全世界の都市とその日付はテロがあったことを示しています。
『2001年9月11日 NewYork』は『アメリカ同時多発テロ事件』であり、WSSの舞台と同じニューヨークですね。
2つの人種グループがいがみ合い、喧嘩する構図はまさに戦争(高校生である彼らの戦争でもある)です。
9.11や近年のテロはWSSの作られた1950年代(映画は1961年公開)には無く、恐らく当時は第二次世界大戦やベトナム戦争を想定していたのでしょうが(もちろん、アメリカ社会の人種分断も)、近年のテロを思い起こさせることで、現代において再構築できる舞台でした。
WSSの高校生に背負わすのは大変重いものですが、マリアが「ロミオとジュリエット」をなぞらなかったことと復讐に手をかけなかったことこそがこの舞台が長く上演されて愛されるのでしょう。
中々書けなくて鑑賞から早2週間。映画との比較や考察も書きたいところでした。
Season2が始まる前に感想あげることができて良かったです。本当は映画版を観返して考えてみたかったのですが、時間が無かったのでまたいずれに。
合間に映画を観たらそのレビュー、劇場レポ、あと遠征のことも下書きしています。
何かあれば暫定的にマシュマロ置いておきます。